【膝の前が痛い】スポーツ中に生じる膝痛の正体
〇はじめに(前面痛)
「しゃがむと膝の前が痛い」
「走ると膝が痛む」
「ジャンプをすると膝が痛い」
このような症状でお困りではありませんか?
膝の前面痛は、スポーツ活動中に頻発し、サッカーのようにダッシュとストップを繰り返すスポーツやバレーボールやバスケットボールのようにジャンプを繰り返すスポーツに多い怪我です。
しかし、一概に膝の前面が痛いと言っても、痛みの場所や運動強度、身体的特徴によって原因が異なります。
そこで、当記事では、膝の前面痛の種類と原因を簡単に説明します。
〇膝の構造を知ろう!
膝の痛みの原因を知るにはまず膝について知ることが大切です。
そのため、膝の構造について簡単に説明します。(図1)
図1:膝の構造
膝は4つの骨(大腿骨、脛骨、腓骨、膝蓋骨)があり、主要な4本の靭帯(前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯)で骨同士を繋げています。
また、膝には半月板という組織があり、膝にかかる力を和らげるクッションの役割をしています。
その他には、小さな靭帯や筋肉が付くことで膝を安定させています。
〇膝前面痛の種類
次に膝の前面痛で発生しやすい3つの疾患に焦点を当てて説明をしていきます。(図2)
図2:膝の前面痛の種類
・Osgood-Schlatter病(オスグッド・シュラッタ―病)
図3:オスグッド病について
オスグッドは成長期に多い怪我の一つで、特に中学生の男子に多く発生します。
図のように膝下の出っ張り部分の痛みが特徴で、通常は押したときの痛みと運動中と後の痛みがあります。日常生活では痛みは出ないことが多いですが、症状が強いとしゃがみ込みや階段を上る時に痛みを感じることがあります。
スポーツでは、サッカーやバレーボール、バスケットボールなどで多く発生しており、痛みを我慢していると長期間の療養期間が必要になります。
発生要因
スポーツ活動中(特にサッカーやバスケットボール)にストップ動作やジャンプ動作を繰り返し行うと、膝の前についている大腿四頭筋という筋肉に負担がかかりやすくなります。
それにより、筋肉が付着している脛骨粗面にストレスが加わり痛みが発生します。(図3)
また、股関節が上手く使えない人や足首が硬い人は、通常よりもオスグッドになる可能性が高くなるため、注意が必要です!
・Sinding-Larsen-Johansson(シンディング・ラーセン・ヨハンソン病)
図4:ヨハンソン病について
ヨハンソン病はオスグッドのように成長期のアスリートに多く見られる疾患です。
日常生活で痛みを感じることは少ないですが、スポーツ中の膝の痛みがあり、膝のお皿の下側を押すと痛みがある方はヨハンソン病の可能性が高いです。
発生要因
発生要因はオスグッドとほとんど同じです。
ストップ動作やジャンプ動作などを繰り返し行うことで膝についている大腿四頭筋が過活動状態になり、膝のお皿の下の方に牽引ストレスが加わることで痛みが発生します。(図4)
しかし、上手く動作を行えている人は痛めにくく、間違った動作(股関節が上手く使えない)を繰り返すことで痛みが発生してしまいます。
特にバスケットボールやサッカーを行っている男子に多く発生し、ほとんどは片膝の痛みですが、3割程度の人は両膝同時に痛めることもあります。
また、4割程度の人はオスグッドやシーバー病(踵の痛み)を併発することもあるため、同時に治療することをお勧めします!
・Jumper’s knee (ジャンパー膝/大腿四頭筋腱炎/膝蓋腱炎)
図5:ジャンパー膝について
ジャンパー膝は膝の曲げ伸ばしを繰り返す動作やスポーツ動作により発生しやすい疾患です。オスグッドやヨハンソン病などの成長痛とは違い、成長期を過ぎた14歳から18歳の若年アスリートで発生しやすく、特に17~18歳での発生数が多くなっています。
スポーツではバスケットボールやバレーボールなどのジャンプや急な方向転換を伴う競技で発生しやすいと言われています。
発生要因
ジャンプや切り返しを行う際に、股関節が上手く使えない状態で膝関節優位の動きをしてしまうことで大腿四頭筋に過負荷がかかった結果、大腿四頭筋腱や膝蓋腱と言われる腱に痛みが発生してしまいます。(図5)
上記で説明しているオスグッドやヨハンソン病では、成長期で骨が弱いため、骨の痛みが発生しますが、ジャンパー膝では骨が成熟していることで腱にストレスが加わり痛みが発生します。
〇まとめ
今回のブログでは、若年者に生じやすい膝の前面痛について簡単に解説しました。
上記症状以外にも痛みの原因はありますが、これらの怪我は骨盤から膝下まで付着している大腿四頭筋(特に大腿直筋)が影響していることが多いです。(図6)
図6:膝前面痛の原因になりやすい筋肉
この筋肉は骨盤、股関節、膝関節に関与している為、その周囲の筋肉の柔軟性不足や身体の使い方が悪いことにより、怪我のリスクが増加してしまいます。
次回のブログでは、これらの筋肉に負担がかかってしまう要因や膝前面痛の予防法について説明していきます。
是非お楽しみに(*^-^*)
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